らしく。

作詞をしています。

掃除

部屋の掃除をした。

 

一人暮らしなもので、部屋の掃除と言えば家の掃除を意味する。

風呂場は毎日入るタイミングで掃除しているため除外として、洗面所から廊下、キッチン、トイレ、リビング。二週に一度は全体を掃除する習慣を作ったので、毎度そこまで汚れてはいない。家全体をピカピカにするのに30分で事足りるのだ。

 

せっかくなので、全ての工程をざっくり書いてみようか。

まずは洗面所の水気を拭いて、その流れで洗面台全体をざっと拭く。朝一番に洗面所を使うので、ここは必然水気がまだ残っていることが多いのだ。

そのタオルと、そのほか前日に出た洗濯物を放り込んで洗濯機を回す。

その次は食器洗いだ。一日に使う食器の量なんてたかが知れているので、こちらもサクサク終わらせる。ついでにコンロの周りを濡れ布巾で拭いて汚れを取って、冷蔵庫を除いて作り置きおかずの状態をチェック。傷んでいたらごめんなさい、とつぶやきながらゴミ箱に捨てる。

 

なんだかひどく所帯じみてきた。

 

次は居室。典型的な1Kに住んでいるので、リビングルームダイニングルームはいっしょくただ。

抱き枕や枕、クッションたちにこれでもかとファブリーズを振りかけて、ベランダで天日干しにする。布団を除けてすのこベッドを三角形にしたら、その上にもう一度布団をかけて、毛布も掛ける。

ついでに、今の時期は少し肌寒いが、窓を開ける。埃が舞うので。

 

ここで一度居室を離れて、トイレに向かう。トイレは、最も気合を入れて掃除をする場所といっても過言ではない。

とはいえ、やることは一般的なそれである。トイレブラシで便器を擦って、拭き取りペーパーで全体を拭いて、全部を水に流して、最後に汚れ防止のスタンプをぽん。

だが、一つ一つの所作に対しての気合の入れ方が全く違う。これには二つ理由がある。

一つは、急な来客があった際、トイレを貸せる状況にしておきたいからだ。

部屋の隅のちょっとした埃や台所の水垢には目を瞑っても、トイレの汚れってなんとなく生理的嫌悪感が大きい気がする。

もう一つは、女神様みたいにきれいになりたいからだ。

もう一昔ほど前になるのか。少し長くて、それでいて絶妙にキャッチ―な、けれどすべてを聞けばそのストーリーに涙が一筋流れるような、あの歌が流行したのは。

郷里の方言を用いていることもあり、あの歌は聞いた時から肌に馴染んでいた。だからいつも、便器をピカピカに磨きながら、女神さんみたいにべっぴんさんになれますようにと、小さな祈りを捧げている。毎日ではなくて、ごめんなさい。

 

さて、トイレが終わればフィニッシュが近づく。

居室に戻って、ふわふわした棒を取り出す。テレビ台や本棚を撫でると埃が取れるのだ。

ひとしきり終われば、簡易モップにシートを取り付けて、部屋の端っこからなぞっていく。ベッドの下、諸々を収納しているカートも動かして、クローゼットの扉も開ける。

いつも使っている机は折りたたんで端っこに置いて、座椅子も移動させて、床全体をさっぱりさせる。

このころになると髪の毛のせいで簡易モップが結構悲惨な見た目になることが多い。シートをはずして、裏返しにして再度装着。貧乏性だ。

廊下を拭く道すがら、トイレの扉も開ける。基本的には一つ前の段階で綺麗にしているのだが、床拭きは居室と同じタイミングで行うのだ。

キッチンの廊下、洗面所もモップを滑らせる。何度も言うが、髪の毛がすごい量拭き取れる。これでよく頭頂部がピカピカ光らないものだと、少し感心する。

 

シートをゴミ袋に入れて、そのほかのゴミと一緒にまとめて口を結んで、玄関先に仮置き。

その頃には洗濯物ができているので、天日干ししていたクッションたちと場所を交代させる。枕なんかは引き続き三角形のすのこベッドの上で風を通させて、クッションは座椅子や机と一緒に元の位置に置く。

 

座りたくなる衝動をこらえてゴミを捨てに行って、戻ってきたら手洗いをした後ケトルでお湯を沸かして、好きなお茶を淹れる。

ここまでが、掃除の工程だ。

かなり所帯じみている。

 

 

掃除をすると運気が上がる、という人がいる。

スピリチュアルなことはわからないし、掃除をしたから宝くじが当たったことはまだない。

けれど、ひんやりした風が吹き込んだり、小ざっぱりしたような床を見たり、汚れ一つないトイレがあると、ちょっといい気持ちにはなる。

 

掃除をするのは大抵週末だが、それすらも億劫な時がある。余裕のない平日を過ごした時だ。

忙しない日々を送っていると、目に見えて部屋が荒れるのだ。

出しっぱなしの本、畳んだままの洗濯物、コードを繋いだだけのモバイルバッテリー。

 

ちょっとだけ、ほんの少しだけ、頑張ってみようかと思えた週末には、そうやって部屋を荒らしている物たちを元の場所に返してやる作業も行う。

本は本棚に、服はチェストに、バッテリーは持ち歩くポーチに。

そうして、ついでに自分のことも整頓していく。

人間関係とか、将来の悩みとか、今欲しい物とか。

綺麗な部屋を見てちょっといい気持になったのに加えて、ちょっと何かが軽くなる。気がする。

 

そしたら翌日の日曜日は、新しい小説でも探しに行ってみようかしら、なんて思ったりできるのだ。

その帰り道に、こうやってブログを書くこともできる。

なるほどどうして、運気が上がってもおかしくはないかもしれない。